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ストック型予防医療の理論と実践 第25回

ストック型予防医療の理論と実践 第25回

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辻村 傑 辻村 傑
更新日:

院内に歯科衛生アセスメント(口腔内外の診査)を導入しよう!

歯科衛生過程5つのうち、最も臨床導入が優先されるべき「歯科衛生アセスメント」。今回は疾患の徴候や自覚症状、検査の準備についてご説明します。

Ⅲ 徴候と自覚症状

徹底的なアセスメントの一部として行う患者検査の具体的な目的は、疾患の徴候や自覚症状の可能性のある正常からの逸脱を認識することである。

注意深い精密検査の必要性が高く、細部にわたる集中と注意が必要となり、初期病変の徴候や自覚症状を認めたら詳細に記録すべきである。

全身的な徴候や自覚症状が起こることがある。
〈例〉 発熱、体温の上昇があれば感染症を伴う。

その疾患に特有で特徴的な徴候または自覚症状は、他の疾患や状態から区別するのに向いている可能性がある。

A 徴候

徴候は患者を検査したときに確認できる異常な状態である。

徴候は他覚的な症状である。

徴候の例:プローブ、探針、エックス線写真、その他の器具を用いて疾患を発見しようとするときにみられる、色・形・硬度などに対する異常な所見が観察できる変化である。

B 自覚症状

自覚症状は、疾患を暗示するいくつかの正常からの逸脱である。

自覚症状は、患者が感じる主観的な異常である。

たとえば、疼痛、不快感、ブラッシング時の出血など、患者が言葉で述べたものである。

Ⅳ 検査の準備

患者の既往歴やその他の記録を見直す。

エックス線写真を画像ビューアやコンピュータの画面で確認する。

患者に検査内容を説明する。

患者が頭頸部の精密な検査を行う決心をするように助言する。

検査手順

Ⅰ 系統的な検査手順

一定の順序で検査を行うと、次のような利点がある。

重複が最小限となり、見落としがない。

能率がよく、検査時間が短縮できる。

専門職に対する患者の信頼をよび起こすような雰囲気を維持できる。

Ⅱ 精密検査の手順

A 口腔外検査
  1. 1 受付時や待合室に座っている患者を観察し、身体的特徴や異常な状態に注意し、全身的な評価をする。
  2. 2 頭、顔、眼、顎部を観察し、顔面と顎部の皮膚を評価する。
  3. 3 唾液腺とリンパ節を触診する。
  4. 4 下顎運動を観察し、顎関節を触診する。 医科、歯科病歴について質問する。
B 口腔内検査
  1. 1 ミラー、舌圧子を用いて、口唇と口腔粘膜の予備検査を行う。
  2. 2 口唇、唇・頬側の口腔粘膜歯肉頬移行部を視診、触診する。
  3. 3 舌背、舌下面、舌側縁、舌根部を検査、触診する。舌後方1/3を観察するために、舌尖部を指でつまんで一方に牽引し、次に反対側に牽引する。
  4. 4 口腔底粘膜を観察、触診する。
  5. 5 硬口蓋、軟口蓋、扁桃部、咽頭を検査する。口峡咽頭部、機能的な微候を、鼻咽頭部、咽頭部はミラーを用いて観察する。
  6. 6 唾液の分泌量、粘稠度に注意し、ドライマウスの徴候をみつける。

所見の記録

Ⅰ 記 録

A 記録の形態
  1. 1 観察された病変を完全に記載できる、十分な記載スペースが必要であり、単なるチェックシートでは無い方が良い。
    2 フォローアップやメインテナンスアポイントメント時の継続的な検査のためのスペースがあることが重要。
B 記録すべき事項

完全な記載は、所見ごとに、部位、範囲、大きさ、色、表面の性状あるいは外形、硬度、形態的特徴、そして病歴が記録されている。

Ⅱ 病 歴

患者に直接質問をし、口腔病変を管理していくうえで必要な情報を得る。患者に不安を与えないように、病歴を聞くときはタイミングを見はからわなくてはならない。

患者がその病変に気づいているかどうか。

気づいているなら、いつ頃最初に気がついたか、それが再発であれば前回の日付。

期間:気づいてからの大きさと外観の推移。

自覚症状。

次回は病変の部位と範囲の確認方法についてお話しします。

辻村 傑
つじむら歯科医院グループ 総院長
1993 神奈川歯科大学 卒業
1995 つじむら歯科医院 開業
1997 医療法人社団つじむら歯科医院 開設
2008 神奈川歯科大学生体管理医学講座/薬理学分野大学院
2010 南カリフォルニア大学客員研究員/南カリフォルニア大学アンバサダー(任命大使)
2012 ハートフルスマイルデンタルクリニック/茅ヶ崎 開業
2013 インディアナ大学 歯周病学インプラント科/客員講師
2014 インディアナ大学医学部解剖学/顎顔面頭蓋部臨床解剖 認定医

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