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これからも避けられないコロナ。現実的な対応が問われるとき

本での最初のコロナ患者が見つかった日からすでに2年以上が経過した。ウィルス学について詳しいわけではないので専門家の意見をよく聞いてもらいたいが、要はこれからも変異を続けていろんなコロナ株が出てくることは避けられないとのこと。それは、むし歯や歯周病のような感染症を扱う我々にとっても同じで「ゼロむし歯、ゼロ歯周病」を目指すのは、理想論はともかく、現実的ではない。共生するとまでは言いたくないが、発症をいかにコントロールするかが問われていくのではないか。

どこかで区切りをつけないと中々前に進めないことから、ここで一度「コロナ総括」をしてみたい。国から非常事態宣言が発令される経験は50年以上の人生で初めてであり、人が消えた街も見ることができた。当たり前だが、鉄道も飛行機も人が乗らなければ、単なる鉄の塊でしかないことも理解した上で、日本の人口が半分になったら、この状況が普通の景色になり、狭い狭いと言っていた我が国土も実は豊かだったと気がつくのかもしれない。

2年前には決して戻れない今、新たな「令和時代のマナー」も

そんな中でも、歯科医院には多くの患者さんが来院してきた。もちろん、地域、特に都心の中心部と地方では様相は全く異なるので一概には言えないが、私の知る限り、2020年3〜5月こそ大幅に減少したが、6月以降は持ち直し、その後は概ね増えた。患者数や売り上げよりも、むしろグローブやマスクといった診療必需品の欠品に大変困った。国民全員がマスクを購入する事態を誰も想定していないから生産が追いつかないのも当たり前で、中国から緊急輸入できたことは幸いだった(お金は随分とかかったが)。

当初、歯科医院では院内感染の可能性が高い(飛沫が飛びやすい)だの、そもそも歯科治療は不要不急だの、と色々言われてきたが、吉村大阪府知事の「(院内クラスターが起こっていないことを踏まえ)歯科には何かがある」と言ってもらえてから潮目が変わった。その後、医療従事者へのワクチン接種、感染対策費の補助金、診療報酬加点、さらに資金繰り支援と、医療インフラを守ろうとする国の姿勢を強く感じられた。

1996年に発信された「スタンダード・プリコーション(標準予防策)」。コロナ禍以前からの感染対策や消毒態勢が良い結果を招いているといったご意見を多数いただきました。また、来院される患者さんの意識の高さも重要で、どちらか一方だけの対策では感染を防げないことが証明された結果ではないでしょうか。今後クラスターを発生させないためにも感染対策への意識の維持が重要になってきます。

私自身は、コロナは1年間ぐらいで収束するものと高を括っていた。1年程度なら、元の生活習慣に戻れるし、これまでの日本に戻れると。しかし、実際には2年以上となってしまい、私を含め多くの国民は、2年前の姿には戻れなくなっている。生活習慣だけでなく、仕事や住む場所に対する見方・感じ方・考え方が変わってしまった。先日、2年振りに電車に乗った。車両という一つの空間にたくさんの人がいることに「嫌だな」という気分になった。見知らぬ人がマスクもせず隣に座っていることに人々はもう耐えられないと思う。国が安全宣言を出すことが仮に有ったとしても、建物内、電車、飛行機など長時間滞在する場所においては、マスク着用が「令和時代のマナー」となることは間違いない。

昔から、「目は口ほどにものを言い」と言うが、だからと言って目だけで意思疎通できるわけもなく、表情が読めない中でのコミュニケーションでは誤解も増えるであろう。歯科では、もともとマスク着用しつつ患者と話すことから「よく聞き取れない」とクレームを言われてきたが、これが一般社会でのルールになるのであれば、メールやラインあるいは「アバター(メタ)」をさらに活用ということになるのだろうか。昭和世代には厳しい時代となった。

リベンジ消費のはじまり 人口減が不利に働く時代がすぐそこにやってくる

医院の事業という点で見ると、このコロナ禍は「歯科バブル」と言える。国民は、他県にも旅行できず、外食もせず、ひたすら自宅で過ごしてきた為、時間とお金を使う場所が歯科に向かったようだ。忙しくて通院できなかった人がテレワークで時間調整ができるようになって平日の日中に来院したり、「マスクをするので隠せる」からと矯正治療を始める人が増えたりした。

しかし、コロナが収束すればリベンジ消費が始まり、来院患者数も落ち着き、元にもどっていく。我々は、コロナ前の2019年の状況を思い出さなければならない。スタッフを確保することはさらに厳しくなり、大型であることが、絶滅した恐竜のように不利に働く時代がすぐそこにやってくる。幸い、国の保険制度は「かかりつけ歯科機能のさらなる強化」「1.5次歯科医院の推進」「歯科医院のグループ化」などを望んでいるようなので、その求めに応じた医院改革を弛まず行っていきたい。

気がつけば、この4月には保険改正が行われる。平成30年の医療介護同時改正の仕上げの改正である。前回導入された「P重防」やIOS(口腔内スキャナー)保険収載など注目点はたくさんある。個人的に一番気になるのは、「長期管理加算算定数」と「か強診」の関係である。これまでのか強診の上のクラス(歯援診2のような)を作るのではないかと予測している。施設基準を突破するためには、自治体への協力関係強化が必要のようであり、色々思案中である。

康本塾を率いて15年になる。大型歯科医院のマネジメントを模索してきたが、人材確保がこれ以上困難になれば、何のための15年であったのか、と落ち込むので、そうならないように、単なるグループ化やM&Aではなく、川上から川下まで、日本からアジアまでを視野に入れて、ラスト10年踏ん張ってみたいと思う。今年の康本塾は、全国各地でオープン参加のマネジメント大会を開催したい。医院全体で参加できる仕組みを整え、全員戦力化を目標に研鑽を積んでいこうと思う。他にも、北京デンタルショー(6月)や上海デンタルショー(11月)に参加し、大学病院の視察や現地歯科医師会との交流も行う予定である。

興味のある方は、ぜひHPをチェックしてもらいたい。お互い良い2022年となりますように。

康本塾
https://www.dentalassociate.jp
「医院作りのヒントに」と撮りためてきた「次代塾e-ラーニング」が完成しました。全部で48本! 毎週動画配信(20分程度)されます。ご興味のある方は「次代塾」で検索してください。
康本 征史
日本歯科イノベーション協会(JDI) 会長
柏の葉総合歯科・小児歯科 院長
1994年康本歯科クリニック開業。2000年予防歯科センターを増設し、定期管理型歯科医院として業績を伸ばす。各地域での講演会だけでなく、21世紀の歯科医院経営の追求を目的とした「康本塾」「次代塾」を主宰する等、精力的に活動中。

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