前回来院される患者さんの期待値が年々高くなっていることについて述べました。医院としては期待以上の結果を残さなければいけないことから、ちょっと苦しい時代になってきたと思ってはいますが、それでもその解決策が全くないとは考えておりません。
患者さんの期待と我々の医療とのギャップは、その多くは「情報ギャップ」によるものです。患者さんは自身の口腔内がどういう状態になっているか、十分どころかあまり把握しておりません。なので、歯科医院にいけば何とかしてくれると思うのでしょう。
しかし、実際の医療現場では、頑張っても残せないものは残せず、削らないといけないものは削るしかありません。患者さん自身の口腔内をいかに共有するかが情報ギャップを埋める1丁目1番地となるわけですが、昔なら手鏡、ここ10年ぐらいはCCDカメラ(通称親指カメラ)を使ってそれを埋める努力をしてきました。映し出された画像の情報量は多く、患者さんの理解も進んできたと言えます。
そして、口腔内をきちんと認識してもらうことができたら、今度は、その治療法の選択へと進んでいきます。私が歯科医師になった25年以上前ならいざ知らず、現代では、病気は患者さんのものであり、治療をする、しないを含め治療方法を選ぶのは患者さんなのです。もちろん、我々医療従事者としては、我々が勧める治療法が選択されるよう、情報提供を行うべきと考えます。
デジタル化によって、これまでの口頭ベースであったものをどのように変えていけるでしょうか。当院では、口腔内の状態説明は、ダイレクトスキャナー(Trophy 3DIPRO ヨシダ)を活用しています。当製品は、CAD/CAMなど補綴のためのものではありますが、カラー画像の鮮明さが素晴らしく、患者さんの理解が格段に進むことで、コミュニケーションギャップが小さくなります。(図1)口腔内写真との違いは、立体感であり、歯並びの状態や噛み合わせまで示せるところです。最新のCTでは顔貌も顎運動も表現できると聞いていますから、今後は、ますます理解が進み、我々も楽になるのではないでしょうか。
治療法への情報提供はデジタル化によってどのように変わるのでしょうか。同様のことは、学校などの教育においても起こっております。それは、タブレット教材(デジタル教科書)の活用です。我々がデジタル教科書を用意することはありませんが、1人1人の患者さんへ個別の情報を提供できるインフラ(顧客管理アプリ『リカバるくん』https://www.dentalassociate.jp/system/recovery/index.html)を今年前半に導入していこうと考えております。(次号に続く)