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角祥太郎の職場活力を上げる FEEDバック! 第2回

角祥太郎の職場活力を上げる FEEDバック! 第2回

FEED NOTE

角 祥太郎 角 祥太郎
更新日:
メンタル残高は声のかけ方一つで大きく変動!即実践できる簡単な“声かけ”を教えます
前号では、全国でセミナーや講演を行っている角祥太郎先生が実際に見て感じた、様々な医院内で起きている“職場結束力の低下”についてお話をしていただきました。
今回は、そのような状況を打破するために即実践できる、職場活力を上げる方法について解説していただきます。
こんにちは。角祥太郎です。年間140 回以上の院内セミナーの際に、現場の心をポキリと折ってしまっているのではないかと心配している院長やチーフスタッフさん、声かけで心を折られた若手スタッフの話を全国の現場で多く耳にします。と偉そうに言っている私も、声かけの重要性とやり方がわからず、悪気なく現場の心を折り失敗していたことが多々ありました。そこからリカバーし、今は全国で講演をしています。そこで今回は皆さんのお得に少しでもなるように、現場で即実践できる簡単な声かけの方法についてご提案させていただきます。

その日の評価は終わり際で決まる

実は1日の評価や職場の評価は終わり際で決まります。フィードバック一つでメンタル残高は増えたり、減ったりします。実際に自分が経営に携わっていた医療法人でも、分院長の交代よりも、終礼を始めるようにした医院の方が人も数字も安定しました。自分の仕事が終わった瞬間に「何のフィードバックもなく」ササッと帰宅をするような院長の元では不思議と院内は安定しません。ホテルの朝食バイキングが豪華なのも終わり際を良くして印象を良くするためですし、ずっと喧嘩をしていても終わりが和やかであれば、まさに「終わりよければすべてよし」でその日の評価はGOOD になるのです。つまり診療後に良いフィードバックをすることで職場活力が上がるのです。

診療と診療以外に分けて声かけの仕方を変える

①診療での声かけ

診療には診査診断、治療計画という正解があり、結果を出さないと患者さんに迷惑がかかるので「〇〇できた?」と聞く必要がありますが、客観的な評価と指導に加えて「過去と比較して良くなっている点」を必ず伝えましょう。本人に「自分なりに成長している点」を聞いた後に、「何を意識したのか」を聞いてください。見える結果だけをフィードバックするよりも「見えるところの裏に潜んでいる見えない努力こそ本人としては見て欲しい」ものです。意識していることを話してもらうことで「あっ、自分はこういうことを意識してるから成長したのだ
な」と自覚することになり、自主性を促すことができます。このようにフィードバックをすることで、診療を自発的に学んだり、積極的に動いてくれるようになり、結果として院長の診療も楽になるのです。
また診療において特に若手は、本人として悔しいところや不安なことも多くありますので、そこをこぼさずにフィードバックしてください。例えば「セメントを上手に練れるか不安です」という新人スタッフがいたら、そのスタッフは上手にセメントを練りたいという向上心があるからこそ不安なのです。なので「今日やってみて不安だったことや悔しかったこととかある?」と声をかけて、まず不安などを語ってもらうことが大切です。
不安を出すことにより、本人の頭の中が整理されます。「だからこそ、こうしてみようかな?と思うことはある?」と自身で考えることを促すように聞いてください。聞く側の気構えとしては、相手に完全なる答えや自分の欲しい答えを求めるのではなくて、「こうしたら1% でも不安が減ると思うことは?」と最初の一歩を自発的に考えてもらうようにフィードバックをしましょう。

 

まずは行動を賞賛。その後、改善案を考えてもらうことが大切です。

②診療以外での声かけ

診療以外での声かけを間違うと、現場のメンタルの残高が一気に下がります。ちなみに診療以外というのは「キャンセル率」や「オペレーション」や「新人教育」など直接的ではなく間接的に診療に影響を及ぼす事柄を指します。では、どのようにフィードバックをすればいいのか?これは「To Do(〜できた?)」ではなく「To Feel(〜どんな感じだった?)」で聞いてください。
治療計画のようにゴールを見据えて逆算的に辿り着くことであれば「ToDo」でフィードバックをしてもいいの
ですが、診療以外では、まず一歩を踏み出してもらうことが大切であり、「やってみてどうだったか?」と当事者が考えながら自走することが大切なので、「ToDo」ではなく「To Feel」でのフィードバックが大切です。とはいえ、一言で「To Feel」とフィードバックをしようと思ってもなかなか難しい場合もありますので、具体的にどのように声をかけるかを説明します。

③+、ー、0。でフィードバックをする

+、−、!で「To Feel」を聞くと非常に楽にフィードバックできます。例えば待合室に患者さん向けのアンケートボックスを置いたとします。これはやってみないとわからないことなので「〜できた?」と聞いてはいけません。治療計画とは違って「まずやってみないとわからない」ことなのでこのように聞きます。

 

試行錯誤して最適解に辿り着くように促すフィードバックが必要

「アンケートボックスを置いてみてくれてありがとう!どんな感じだった?」「良かったこと(+)とかイマイチだったこと(−)、全然関係なくてもいいから思いついたこと(!)とかある?」と、1週間に一度でいいので聞いてみてください。イマイチだったことが実はものすごく大切です。まずやってくれたことへの賞賛をして心理的な不安をほぐしてからフィードバックをしてください。イマイチだったことからは、ムダの発見や改善案の発見が出てきます。これを掘り起こしていくのがものすごく大切です。イマイチだったことを言ってもらった後、それがムダであることが分かれば、院長判断でヤメてもいいです。ムダではないがイマイチなことには改善というお宝が
眠っています。イマイチだったことを聞いた後に「1% でも改善するとしたらどんなことがあるかな?」と問いかけましょう。行動を賞賛したのちに改善案を考えてもらうのが大切です。さらに新しく思いついたことがあれば、現場の雑務が増えない程度に、院長判断で新しい施策として試みを始めてください。
このように「どんな感じ?」とフィードバックするだけで現場の思考力と自走性が高まり、一人一人のポジションができ承認欲求を緩やかに満たすこともでき、その結果としてメンタル残高が高まり、現場活力が上がっていくのです。

角祥太郎の職場活力を上げる FEEDバック! 第2回
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角 祥太郎
株式会社clapping hands 代表
2005 年 東京歯科大学 卒業 / 2009 年 東京歯科大学解剖学講座にて博士課程 修了 / 2009 年 医療法人海星会 勤務 / 2013年 同法人副理事長・株式会社DENRICHE 代表取締役 就任 /2017 年 株式会社clapping hands 設立 /週2 回の診療の傍ら、年間137 回ものセミナーをこなし、2020 年11 月に出版した書籍は発売2 ヵ月で1,500 部を突破。片や若手歯科医師向けの個別セミナーやサロンも定期的に開催し、とにかく様々な形でのアウトプットをし続けている。
学生時代よりプロレスラー(キム・ヨッチャン)としても活躍し、週刊プロレスの表紙を飾ったこともある異色の経歴の持ち主である。

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