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エンドペリオ病変の治療戦略が見えてくる ホープレスの歯に立ち向かう 第1回

エンドペリオ病変の治療戦略が見えてくる ホープレスの歯に立ち向かう 第1回

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木村 文彦 木村 文彦
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昨今人生100年時代と言われており、歯も昔と比べて長い耐用年数が必要となってきている。歯が失われる原因としてあげられるのは、歯周病が37%、虫歯が29%、破折18%、その他が16%(厚生労働省2018年:抜歯の主原因と抜歯の主原因別にみた抜歯数より)であるが、いわゆる保存系の分野であるはずの歯周病、虫歯での抜歯の合計は66%にも達する。
歯の心臓部である根の治療エンドと歯を取り囲む屋台骨である歯周治療ペリオはそれぞれ奥が深く、歯科医師はエンドはエンド、ペリオはペリオで研鑽を積んでいかなければならない。また日本の多くの地域では専門医制度が米国などと比べて根付いているとは言えず、患者としても専門医を紹介され移動を余儀なくされるよりは一箇所で、できれば同じ先生に見てもらいたいと言う希望が強く、GPとしてその要望に応える必要がある。よってGPはまずペリオとエンドに強くなることはとても重要であると考えられる。またこの二つの分野は時として一緒に現れることがあり、“エンドペリオ病変”というレントゲン上で根尖に及ぶ大きな透過像が存在し、それが深いポケットとつながっている(図1)。

そんな状態は歯科医療従事者であれば誰しも遭遇したことがあるのではないだろうか。一見すると保存するのが難しい。そんな歯を我々はホープレスと言うかもしれないが、昨今ホープレスの基準はマイクロスコープ、CT、様々なマテリアルやテクニックの出現により変わってきている。それらの技術や知見を生かせば、ホープレスに見える歯でも残せるかもしれない。抜いて安易にインプラントを勧めたとしても、何年か後にインプラント周囲炎になる可能性も否定はできない。寿命の延長とともに歯も抜くタイミングを遅らせる。それで良いのである。
また自分一人で何が出来るのか、孤独であると感じている歯科医療従事者もいるかもしれない。そんな中、我々は昨年インターアクションより書籍を出版させていただいたことをきっかけにチームエンドペリオというグループを立ち上げ、Facebookコミュニティーやサイトでの情報発信などを行い、ワンチームとしてホープレスな歯に立ち向かっていくことが重要であると考えている。またこのサイトでは著者らによるオンライン症例相談を行なっている。最近はzoomなどの広がりで情報共有のためにかつてはかかっていた移動や場所に対するコストがなくなりつつある。是非、これは困ったという症例があれば、歯科医師だけでなく、歯科衛生士、歯科医院で働くスタッフなども気軽にご相談いただければと思っている。

木村 文彦
東京医科歯科大学卒。
神奈川県横須賀市にて2つの歯科医院を開院。
医療法人社団Zion 理事長
【所属学会】
日本歯周病学会、日本臨床歯周病学会、日本歯内療法学会、American Academy of Periodontology

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