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令和4年度診療報酬改定の具体的な点数が示されました。目新しい点は少ないものの、次回令和6年度の医療・介護同時改定に向けて、これまでの点数体系を整理整頓しているイメージを受けました。改定財源がもともと少ないため(+0.29%)、前回のような大きな目玉項目(P重防など)に乏しいものとなりました。具体的な項目を挙げて見ていきましょう。

新興感染症へのさらなる対応

これまでも感染対策について強化がされてきたわけですが、新型コロナ感染症の出現で今改定においても更なる対応が求められ、基本診療料である初診料及び再診料が3点増点されました。算定条件として、セミナーの受講(すでに"注1"届出医院には経過措置が取られ、受講は1年以内で良い)、スタッフへの研修が必要となります。その一方、歯周基本治療処置(月1回10点)が廃止となり基本診療料に含まれることになりました。

"か強診"のさらなる推進

かかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所の届出数が伸び悩んでいます(図1)。これまでS P TⅡ(20歯以上830点)やCE(260点)など、か強診への強力なインセンティブをつけて導入推進を図ってきましたが、残念ながら国の目論見通りとは行きませんでした。その結果、一口に保険医療機関といっても届出によって階級(階層)ができてしまっております(図2)。"注1"を届出していない医院はほとんどありませんが、"注1"届出医院とは、初診で+24点、再診で+12点の差があります。また、"外来環"届出医院なら初診で+47点、再診で+15点の差にもなるのです。
"か強診"はさらにその一段上、様々なところで算定できる点数に差があります。C管理であればCE+130点、P管理であればSPT+120点、長期管理加算なら+10点などなど。外来環で留まっている医院(約20000施設)には、ぜひ頑張って施設基準を満たして"か強診"まで進化して欲しいと思います。

 

初期の根面う蝕へのF局の適応拡大

これまで在宅等の訪問診療でしか算定できなかった"初期の根面う蝕"患者に対するフッ化物歯面塗布処置(F局)が外来患者(65歳以上、歯管)にも、3ヶ月に1回110点算定できることになりました。8020運動によって、高齢者においても多数の歯を残すことができた反面、歯根露出により根面う蝕が増えている現状に応えたものです。サホライド塗布では見た目が悪くて積極的になれなかった我々にとって、大変ありがたい改定です。

口腔機能管理料の対象年齢の拡大

咀嚼機能検査や舌圧検査など口腔機能に関する検査対象が65歳以上から50歳以上へと対象拡大されました。機能の低下をなるべく早く見つけ、機能の維持向上に繋げることでフレイルを予防しようというものです。同様に、小児における口腔機能発達不全症についても対象拡大されました。

(在宅)総合医療管理加算 (総医)施設基準の廃止

これまで"外来環" "か強診"医院のみに算定が認められていた総医50点が、全ての医療機関で算定ができることになりました。医科からの診療情報の提供を文書(対診書)で受けることが条件になります。

歯援診の施設基準の緩和

図1にあるように"歯援診1、2"届出医院数は新型コロナ感染症の影響を受け、大幅に減少しております。そのため、在宅訪問診療の裾野を広げるために"歯援診2"の算定実績が、これまでの10回から4回へと引き下げられました。

Ni ーTiロータリーファイル加算

根管治療については、保険改定の度に加算点数が新設されております。平成24年度にC T算定が、令和2年度にはマイクロ加算が、そして本改定ではNi–Tiロータリーファイル加算(150点)が新設されました。3根管以上、CT撮影、マイクロを用いて加圧根充することが条件となります。

CAD/CAM インレーの導入

CAD/CAM冠は、小臼歯から始まり臼歯へ拡大、昨年前歯にも算定できるようになって、とうとうCAD/CAMインレーが新設されるところまで発展しました。その1番の理由は金パラの価格高騰です。産出国の事情によって価格が大きく変動してしまうため、代替材料が求められていました。2番目の理由は、技工士不足がその背景にあると推測されます。一言で言えば、「機械化」の推進です。技工作業はその一つ一つが手作業となる為とても時間がかかります。効率化を進めていくためには機械化が必要であり、機械化のためには鋳造して作るのではなく、削って作ることが必要となるのです。機械化は、我々歯科医院にも同様に求められています。アルジネート等の連合印象や咬合採得、石膏による模型製作など、スタッフの手作業が多すぎる方法を改善していかなければなりません。
現時点では、機械による印象は保険収載されておりませんが、近い将来収載されることでしょう。

歯管とSPT

最も重要な"歯管"と"SPT"について説明を加えたいと思います。本改定でSPTⅡが廃止されました。月1回830点(20歯以上)という高点数を失って影響を受ける医院も多いと思います。一方、SPT350点(20歯以上)と点数は減ったものの、歯周病検査を実施した場合には別途算定できるので、全体としては減算にはなっていないという医院もあるでしょう。このような差は、来院間隔の違いで生まれてきます。というのも、SPT算定は"病状が安定した"患者の歯周病管理が前提なので、短い間隔で来院した際に、毎回歯周検査を行うことには疑問符がつきかねません。では、どのくらいなら妥当なのか?私は3ヶ月に1回だと考えております。
最後に"歯管"ですが、当初"歯科疾患管理料""歯科疾患継続管理料"とまるで違うもののように導入されたために、初診+歯管、3ヶ月後に再初診+歯管と請求する医院がありますが、"歯管"は、今後継続的に治療なり予防なりを行っていくことが計画されている患者に対する算定です。従って、期間が空いたから算定できるものではありません。1、2回で終了する場合には"歯管"は算定しない、というルールであることをご理解ください。
そして、初診から6ヶ月後に長期管理加算(+120点)を算定し、その後ずっとかかりつけ医として患者が来院し続ける医院のことを"か強診"と呼ぶのです。保険診療が医業収入の50%以上の歯科医院ならば、保険制度の中身を理解し、十二分に活用しましょう。

康本 征史
日本歯科イノベーション協会(JDI) 会長
柏の葉総合歯科・小児歯科 院長
1994年康本歯科クリニック開業。2000年予防歯科センターを増設し、定期管理型歯科医院として業績を伸ばす。各地域での講演会だけでなく、21世紀の歯科医院経営の追求を目的とした「康本塾」「次代塾」を主宰する等、精力的に活動中。

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