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第5回 歯科衛生士スタディグループ奥山会 講演レポート「歯科医師×歯科衛生士 未来を築くパートナーシップの作り方」

第5回 歯科衛生士スタディグループ奥山会 講演レポート「歯科医師×歯科衛生士 未来を築くパートナーシップの作り方」

FEED NOTE

FEED株式会社 FEED株式会社
更新日:
奥山会主宰 奥山洋実氏
1986年 太陽歯科衛生士専門学校卒業 歯科衛生士免許取得
埼玉県川口市、山形県酒田市の歯科医院勤務を経て現在オーラルケアクリニック有田歯科医院(新宿)に非常勤で勤務する傍ら歯科衛生士の研修を行っている。歯科衛生士スタディグループ奥山会主宰 DHstyle(デンタルダイヤモンド社)「魂のハイジーンワーク」連載中。

 

2023年1月22日(日)第5回歯科衛生士スタディグループ奥山会(奥山洋実主宰)が、「口腔の健康を守れる歯科衛生士になろう!」をテーマに講演を開催。オンラインと現地参加(東京都)で約220名が参加されました。歯科衛生士としての有資格者は約28万人いる中、就業をしている人数としては約14万人ということで、業界を離れてしまう方、ライフステージに伴い一旦離職し、復職に高いハードルを感じている方も多いという話も各所から聞いています。

 

一方で歯科衛生士の求人でお困りの先生方が多いという矛盾が発生している歯科業界において、人を育てるということは非常に重要な課題であることと思うのですが、技術面だけでなく、精神面でも信頼の厚い奥山氏は、「臨床を積み上げ、地域に貢献できる歯科衛生士になってほしい。歯科医師と主従関係ではなくパートナーとして、医院を支えられるような歯科衛生士になってほしい」という思いで奥山会を立ち上げたそうです。

約1年をかけて、診療とは別に症例発表を作成、発表をしてくださった皆さん。業務と並行しての準備とあって大変だった中、皆さん素晴らしい発表でした。

 

長期患者を持つことでのやりがいや、達成感、そしてまたその患者さんの人生に関わること、“これが歯科衛生士のやりがいである”ということを、目を輝かせながら発表されている姿に、思わず涙が出てしまう場面もありました。また、発表の応援や発表後のご所属医院の院長のお話や、仲間の応援にも胸が熱くなりました。

 

資格はあるけど、出産育児などのブランクで復職が不安だったというお話もありましたが、フォローの環境があれば実際は怖いことではない、一歩踏み出す勇気というお話があり、なかなかどの医院でも同じことができるかというと難しい部分もあるとは思うのですが、潜在有資格者の復帰に力を入れていくことも今後の課題であると再認識しました。

 


吉武歯科医院 副院長 吉武 秀先生(神奈川県)講演
大切なパートナーとしてともに歩む道
~ 歯科衛生士が長期症例を持つ価値と歯科医師の覚悟と責任

歯科医院として人を雇用するということへの意識を変えていく必要があるのではないか。長期雇用には働きたいと思う環境を作ることが必要」という想いをお話しされた吉武先生。吉武歯科医院で勤務されている二人の歯科衛生士さんも講演でお話しをされていましたが、そのお二人の様子から吉武先生との信頼関係が見えるだけでなく、吉武歯科医院で働くことが生きがいになっていることが、存分に伝わってきました。

特に働き甲斐の面で、吉武先生は「成長感や達成感・責任感を感じていくことで、自分が診られる患者を増やしていく」→「長期患者を担当する」→「長期雇用に繋がっていく、そしてやりがいに繋がっていく」といった理想の循環をご説明されていました。「いい歯科衛生士がいない、雇えない」と自分ごとにしない歯科医師(経営者)の方もいるかもしれないことを見据えて、お話しをされていました。

究極の理想は「歯科医師が患者と関わることの少ない歯科医院」とおっしゃる吉武先生。歯科衛生士の方の存在価値を高めていこうという思いが強く感じられました。

 


西川弘一氏(株式会社ケイズクリーン代表取締役)講演
歯科業界歴25年

歯科専門のお掃除屋さんから見たこれからの歯科業界

 

今回西川氏のお話の中で特に興味深かったのが「歯科に関係のない一般の方から収集した歯周病に関するアンケート」の結果報告でした。まだまだ歯医者=歯が痛くなったら行く場所という意識が強いということ、歯科への期待値もまだまだという現実、そして実は治せていない患者さんが多いのではないか、といった歯科業界内で見直すべき危機意識を発信。

治せていない患者さんが増えていくことで、自身の技術に対する不安感が起こり、さらにやりがいを見出せなくなるといった負の連鎖が起こってしまうことも事実です。

そこで、「治せる歯科衛生士」を少しでも増やすことで、この負の連鎖を止めていけるのではないかと感じました。

 

編集後記

今回の講演を聞いて思うことは、雇用する側は働きやすい環境を作らないといけません。それは雇用形態や職場の雰囲気づくりも含んでいます。その上で成長感・達成感・責任感=働き甲斐に繋がっていきます。一方で雇用される側もまずは何事もやってみる、自分で考え続けることが大切であるのに、謙虚さを失うことで不満が増え、成長も止まってしまうことがあると思います。

 

歯科医師からは歯科衛生士の求人に困っているという話を聞き、歯科衛生士からは働きたい医院がない、復職したいのにできないという話を聞き、このミスマッチはどこから発生するのかといつも疑問に感じていました。技術的にも精神的にも鍛え上げてくれる歯科衛生士の理想系である奥山氏がこうした講演を開催することで、このミスマッチへの解決の糸口も見つかるのではないでしょうか。参加者がより良い刺激を受けているのが目の前で感じられ、歯科業界が良くなっていく未来が見えた気がします。

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