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自費根管治療のススメ 第1回

自費根管治療のススメ 第1回

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寺内 吉継 寺内 吉継
更新日:

療を志す者は、大なり小なり『病気で困っている人を治して助けたい』という思いがモチベーションになっているものと思います。特に根管治療は、歯科医でなければ手掛けられない、『歯の病気を治す』分野ではないでしょうか。本コラムでは、その中でも自費診療による根管治療について、様々な角度から掘り下げていきたいと思います。根管治療に新たな価値を見出していきたい先生方のご参考になれば幸いです。

今回は、私が自費根管治療を始めた経緯についてお話しします。
1990年代半ば~後半ごろに、自分にとって転機になる出来事が3つ起こりました。
一つ目は、『根管治療の頂点が知りたい』。という思いに駆られて、海外のハンズオンコースを多数行脚し、根管治療の奥深さを再認識したことです。いろいろな国から集まった、根管治療専門医が『歯の病気を治そう』と真摯に治療法を学んでいるのを見て、大変刺激になるとともに、自分の選んだ『根管治療を極める』という道が間違っていなかったことを実感しました。今でも師と仰いでいる、Dr. Steve Buchananと知り合ったのも、先生ご主催のハンズオンコースでのことです。

二つ目は、顕微鏡の導入です。顕微鏡を導入した当初は、『こんなものが見えるんだ!』という驚きと感動の連続でした。治療の精密度や許容範囲は格段にあがり、さらに日々の根管治療が楽しくなりました。ちなみにこの楽しさは今も継続中です。

三つ目が自費専門クリニックへの転換です。私は当初、海外から持ち帰った知識・技術と顕微鏡を使って、保険診療として根管治療を行っていました。患者さんに費用対効果で感謝されるに違いないと考えていたからです。しかし、ある患者さんから違う考え方があることを教えられます。

その患者さんは、治療後に
「先生はへたくそだ。ほかのクリニックでは20分くらいで終わることを、延々1時間もかけてやっている。私は治療疲れでへとへとです。もう二度と来ません。」
とクレームを残して帰っていってしまったのです。
この言葉で私は、はっとさせられました。
『ファーストフードを食べたいお客にフランス料理のフルコースを出しても喜ばれないように、相手のニーズに合わせた治療をやらなければ、自分も患者も幸せになれない。自分の目指すこと、自分のコンセプトをはっきり打ち出したクリニックにしよう。』

私は次の日から『根管治療は自費専門』とクリニックの看板を架け替えました。治療費も設備投資・機材代金を正当にチャージした値段に修正しました。確かに去っていった患者さんもいらっしゃいましたが、それ以上に『連絡なしのキャンセル』が激減、根管治療をキチンとやってほしい患者さんが増加し、クリニックの稼働率はアップしました。

自費での根管治療は保険診療ではカバーできない付加価値を提供できる。次回はこのテーマについて掘り下げていきます。

寺内 吉継
東京医科歯科大学歯髄生物学研究室博士課程修了
デンタルアーツアカデミー主任講師
神奈川県開業。
最先端の歯科関連技術・知識の吸収を目的としたセミナー「デンタルアーツアカデミー」の主任講師として、日本に留まらず世界各国で講演を行うなど、幅広い活動を行う。

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