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歯科医の英語勉強法

「英語を身に付ける秘訣を教えてください」大学の後輩から歯科関連のテーマと同じくらいの頻度で受ける質問です。その度にわたしは、「残念ながら秘訣はないので、努力あるのみです」とお答えしています。
私は、自営業をしていた父が早くに他界したこともあり、歯科医師のライセンスを取得すると程なく開業し、猛烈な勢いで働き始めました。大学受験や授業を別とすると、私にとって「生きた英語」との出会いはスティーブ・ブキャナン先生のハンズオンコースでした。1990年代当時、『システムB』を開発されたばかりのブキャナン先生は、『顕微鏡根管治療とシステムBの使用方法』についてのハンズオンコースを診療所の片隅で開催されていました。コースは大人気でいつも満員御礼でした。何とかコースの予約が取れた時は、思わずガッツポーズをして大喜びしたものです。その一方で、コースの値段は数十万円。アメリカまでの交通費を合わせると、大出費です。請求書の金額とにらめっこしながら、「この金額を必ず将来取り返すぞ!」と固く決意したのを覚えております。
外国でのハンズオンコースや学会に出席する際、一番のネックになってくるのが語学の問題です。英語が母国語ではないうえに、英語と言語系統が全く違う日本語を母国語にする私たちは、最初から大きなハンディーを背負っていることを認め、それを埋め合わせるための努力が必要です。わたしはコースに参加するまでの数か月間、診療以外の時間をコースの予習に費やしました。具体的には、コースの指定教科書を辞書を使いながら、なんとか読破するとともに、ブキャナン先生のしゃべり方や言い回しに慣れるために、先生の動画や直近の講演テープを購入して完璧に理解できるまで五十回以上も繰り返し聞きました。また、ブキャナン先生に直接疑問をぶつけるための質問リストも入念に準備しました。
コースがスタートした当初は、「自分の英語は日本語なまりで恥ずかしいのではないか」と話すことについて躊躇したこともありましたが、英語圏外から来ている多くの受講生が、母国語なまりの英語で一所懸命発言し、質問している様を見て、「ネイティブではない自分は、流暢な英語を目指して無理に早口で話す必要はなくて、伝わる英語をしゃべればいいのだ」と、目から鱗が落ちました。
ハンズオン開催期間はたったの数日間ですから、そこにある全てをその時に吸収しないと「Too Late」です。変な遠慮をしている暇なんてありません。恥ずかしさや戸惑いを捨てて、コースに没頭した結果、『Best Student of the course』として表彰を受けました。数カ月にわたる努力が報われた気がして、本当に嬉しかったです。
その後も同じように抜かりなく予習して、ローマリンダ大学などのハンズオンコースを複数受講しました。すると不思議なことに、徐々に論文や教科書を辞書なしで読めるようになり、予習にかかる時間が少なくなっていきました。さらに外国人の先生の顔見知りも増え、外国の歯科事情にも通じるようになったことで、日本の保険治療についての疑問等、別の視点から考えるようになっていったのです。

寺内 吉継
東京医科歯科大学歯髄生物学研究室博士課程修了
デンタルアーツアカデミー主任講師
神奈川県開業。
最先端の歯科関連技術・知識の吸収を目的としたセミナー「デンタルアーツアカデミー」の主任講師として、日本に留まらず世界各国で講演を行うなど、幅広い活動を行う。

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