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自費根管治療のススメ 第18回

自費根管治療のススメ 第18回

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寺内 吉継 寺内 吉継
更新日:

11月の下旬に、トロント大学スタディクラブ開催のため、Friedman 先生やNiemczyk 先生をお迎えし、リトリートメントと外科的歯内療法の講義と実習を4日間にわたって開催いたしました。お二人とも経歴・実績ともにEndodontics のLegend ともいえる先生方です。お二人の通訳を務め、雑談を重ねる中で、お二人が臨床において日ごろ心がけていらっしゃることが日本の歯科現状改革にもつながるのではないかと思い至りました。それは、患者さんへのコンサルティングのあり方です。お二人は、「治療方針」を伝える、患者さんへの「情報伝達」のあり方を大変重要視しているとおっしゃっておりました。当たり前の事なのですが、これをちゃんと実行するのは案外と難しい。

患者さんは、クリニックに来た時点で、「自分の歯を完璧に治療してもらえる」と期待しています。しかし、どんな治療もメリットとデメリットは表裏一体。患者さんの歯がどんな状態なのか、どんな治療のオプションがあるのか、それぞれの治療にはどんなリスクやデメリットがあるのか、きちんと説明しなければなりません。特に、患者さんには治療前にしっかりとリスクやデメリットを伝える事が大事です。その上で患者さん自身にどの治療オプションを選ぶか意思決定してもらい、その選択について責任をとる準備をしてもらいます。時々、治療前の患者さんには「良いことしか言わない」先生がいらっしゃいますが、これは大きな間違いです。患者さんの期待と現実とのギャップが大きければ大きいほど患者さんの失望は深く、トラブルの元となってしまうからです。
Niemczyk 先生は、このプロセスを「患者さんがプロの意見に触れられる大変貴重な機会」として重視し、30分あたり500ドルというかなりの値段をチャージしているそうです。

翻って日本の現状はどうでしょうか? 保険適用のもとでは、患者さんへのコンサルティングには点数がついていないため、このプロセスは大変に軽視されています。よって「歯を完璧に治療してもらえる」という患者さんと、「保険だからここまでしか出来ない」という歯科医師の間の認識のギャップ=期待のギャップは開いたままになりがちです。この現状が、患者さんの歯科医師への漠然とした不信感につながっているのではないでしょうか。

さて、外科の講義でNiemczyk 先生が一番にピックアップした話題が「麻酔の選択とその打ち方」でした。医学にも通じる、大変ファンダメンタルで重要な内容です。残念なことに、日本では滅多に取り上げて議論されるトピックではありません。しかし、それ以前に、日本で通常手に入る歯科用麻酔の濃度は一種類のみ。これでは選択のしようがありません。この事実にNiemczyk 先生は驚愕されていましたが、わたしはとても恥ずかしい思いでいっぱいになりました。
先生方、やはりキチンとした治療をして本当の意味で患者さんの期待に応えるには、「自費治療」を選択するべきではないでしょうか? 皆さんで自費治療の輪を広げていきましょう!

寺内 吉継
東京医科歯科大学歯髄生物学研究室博士課程修了
デンタルアーツアカデミー主任講師
神奈川県開業。
最先端の歯科関連技術・知識の吸収を目的としたセミナー「デンタルアーツアカデミー」の主任講師として、日本に留まらず世界各国で講演を行うなど、幅広い活動を行う。

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