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本コラムは、自費診療による根管治療について様々な角度から掘り下げていきます。第2回は、「根管治療における、自費診療による付加価値について」です。

皆様ご存じのとおり、根管治療は保険適用範囲内です。それでは、保険で定められた項目が根管治療のすべてなのでしょうか。私の答えはNoです。欧米の現状と比較すると、根管治療は、数ある歯科治療項目の中でも治療レベルの国内外格差が大きい分野ではないかと私は考えております。

日本では、多くの保険適用項目は、社会保険制度が作られた戦後間もない時期に定められ、その後ほとんど見直されていないため、海外では当たり前の技術や機材が日本国内では入手できないことがあります。例えば、20年前にトラビネジャット先生によって発明されたMTAは、根管充填剤とパーフォレーションリペア剤として世界中で普通に使われています。しかし、日本では根管充填剤として認可されていないため、公でその使用法を取り上げることができないのが現状です。

一方欧米においては、根管治療は『自分の歯を救う、最後の砦ともいえる治療分野』として最も重視され、研究開発が熱心に行われている分野です。毎年、『こうすれば歯の寿命を延ばせた』とか『難しい症例を克服した』といった研究論文や新しい治療器具が数多く発表され、治療方法・機材の技術革新が日進月歩で進んでいるのです。個人的には今年の3月にドイツのケルンで開催されたIDSで発表された、XP Endoに注目しています。このファイルは特殊な材質で作られているため、従来は届かなかった領域まで洗浄できます。このファイルの登場で根管形成のレベルは一段あがるのではないでしょうか?

根管洗浄や歯髄再生といったトピックは、現在までの研究でも未解決論点が多く残され、今後のさらなる研究が楽しみなところです。いろいろな先生、企業が様々なアイディアに基づいて、試行錯誤を繰り広げておられます。

このように、自費での根管治療をはじめますと、治療方法・機材の選択肢に制限がないため、歯科治療に無限の可能性を実感できると思います。自分が歯科医を志したときに目指した、『患者さんの歯を一本でも多く救おう』という目標が何の制限なく貫徹できるのですから。

当院に来院される患者さんたちは『なるべくなら自分の歯で一生過ごしたい』という思いから当院を選んでくださっています。過去、『根管治療失敗→痛みの再発→抜歯→インプラントか義歯』という経験をされ、今までとは別の解決法を探しているのです。自費による根管治療をクリニックの項目に取り入れれば、こうしたニーズにも応えられるのではないでしょうか。先生方、是非『保険による根管治療』に加え、『自費による根管治療』を検討してみてください。きっと無限の可能性が見えてくるはずです。

どのように自費による根管治療をはじめていけばよいのか。次回から、いよいよこのテーマについて、掘り下げていきたいと思います。

寺内 吉継
東京医科歯科大学歯髄生物学研究室博士課程修了
デンタルアーツアカデミー主任講師
神奈川県開業。
最先端の歯科関連技術・知識の吸収を目的としたセミナー「デンタルアーツアカデミー」の主任講師として、日本に留まらず世界各国で講演を行うなど、幅広い活動を行う。

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