今年の4月から6月にかけ、ありがたいことに、ドイツ・ロシア・スペイン・フィンランドといった、欧州諸国の学会に講演に行く機会に恵まれました。それらの国々で、アメリカではあまり感じられなかった『ある変化』に気づきました。それは、『中国企業のエクスポージャーが圧倒的に増えている!』ということです。
現地にいたドイツ人やイタリア人の先生方に事情をさりげなく聞いてみたところ、『現アメリカ大統領のトランプ氏は、就任当初、前任者がやってきたことを悉く否定することからスタートした。その対応に追われていた米系企業が手薄になった隙間をついて一気に入ってきたのが中国系企業だった。当初、その品質に懐疑的な先生方も多かったが、今ではそのクオリティーの高さとアフターサービスの良さでかなり市民権を得ている』とのことでした。
実際、複数のオピニオンリーダーの方々が講演の中で中国製品を取り上げているのを見かけたため、そのうちの何人かに『本音の部分』を聞いたところ、『本気で中国製品の急激な進化に驚いている。特許問題もクリアできている製品が多くなっている』というコメントです。それを受けて、わたしも某A社やW社の製品を検証してみたところ、思いのほか使い勝手がよいことに驚きました。わたしにとっての一番の懸念点である『耐久性』については、現在進行形でテスト中です。
また、『Pathways of the pulp』の新刊を執筆させていただくことになり、このところ、締め切りに追われる中で大量に論文を読み漁っておりました。前回(4~5年前)と比べて明らかな相違点は、中国の方の論文を参照する機会が激増したことです。デバイスメーカーだけでなく、歯科医師の先生方自身も着実に活躍の場をグローバルに拡げられていることが推察されます。
そんな中、わたしの頭に浮かんできたのはアジア圏でワークショップを開催した時に拝見した、多くの中国人歯科医たちの熱心な横顔です。彼らの『何かを持ち帰るんだ!』という意識はすさまじく、仲間内の競争は、『受講する場所取り』から『講演後の個別質問』まで続きました。
自費で行う歯科を含めた医療産業は、間違いなく『成長分野』です。皆、現状に安住することなく、毎年新しいチャレンジを行い、チャンスを窺っています。成長しているだけに、いつ参入しても遅すぎることはなく、誰にでもチャンスがある。
そんな恵まれたマーケットの恩恵を是非、先生方も自費治療を手掛けることによって享受してください。
ちなみに、わたしが気になった中国製品のデバイスは日本での認可・申請プロセスに入るそうです。是非、『どうせ…』と侮ることなく、一度は手にしてトライしてみてください!