Dental Choice ロゴ

このサイトは国内の医療関係者の方々への情報提供を目的として作成されています。
一般の方への情報提供を目的としたものではありませんのでご了承ください。

あなたは医療関係者ですか?

MENU

Dental Choice ロゴ

予防歯科が進んだ昨今は、虫歯になる日本人が減っている。だから根管治療の将来性は暗いのではないか」という説を最近耳にしました。大変興味深い指摘と思われます。ですが、「確かに虫歯は減っているものの、根管治療が必要な患者さんの数は減っていない」というのが、日々診療をしている中での私の実感です。
なぜなら、ストレスによる歯ぎしり・食いしばりを要因とする歯のダメージを抱える患者さんが激増しているためです。食いしばりは、「歯のサイレントキラー」とも呼ばれており、少しずつ着実に歯質を蝕み、歯を欠いたり、割ったりするまでに至ります。そのような歯はバクテリアに侵されやすくなり、歯根に膿がたまっていきます。そして、患者さんの体調の悪いときに堪え難い痛みの要因となるのです。こうしたケースを特に最近、頻繁に目にするようになりました。
以前からの患者さんに、著名なヘッジファンドマネージャーがいらっしゃいます。過去10年間小康状態を保っていた臼歯が先日急に悪化。根管治療が必要となりました。ほかに、「仕事の付帯業務がストレスのもとになっている」とおっしゃっていた大手芸能事務所のタレントさんは、臼歯に亀裂が多数入っており、歯根に多数の嚢胞を抱えていらっしゃいました。こちらにも根管治療が必要となります。
もちろん、こうした患者さんたちには、自分がストレスをためていることを認識していただくとともに、なるべくストレスを感じなくて済むように、日常生活を再構築していただくことが最も重要です。その一方で歯科医師サイドとしては、なるべく歯がダメージを受けないように噛み合わせを調整したり、歯自体を内外から補強するのが腕の見せ所となります。
以前から、私が根管治療の際に心がけていることの一つが「MTAを使ったバイタルパルプセラピーによってなるべく神経を残すこと」になります。歯の神経を残した歯のほうが、強度に優れるためです。現在では、実に、半数以上のケースで抜髄せずにすむようになりました。
以上のように、私は、根管治療は何かと精神的に負担のかかる現在社会に必要不可欠な治療であり続けると考えています。この趨勢に呼応するように、上記のMTAについても市場に初めて登場してから20年以上たった現在でも、多数の新製品が改めて開発され、発売されつづけています。先生方、ぜひ、「将来性のある」根管治療に、私と一緒に末永く取り組んで行きましょう!!

寺内 吉継
東京医科歯科大学歯髄生物学研究室博士課程修了
デンタルアーツアカデミー主任講師
神奈川県開業。
最先端の歯科関連技術・知識の吸収を目的としたセミナー「デンタルアーツアカデミー」の主任講師として、日本に留まらず世界各国で講演を行うなど、幅広い活動を行う。

関連タグ

関連記事