わたしが開業してから今年で二十数年目を迎えますが、今年はいい意味でも悪い意味でも永く記憶に残る年になりそうです。新型コロナウィルスをめぐる一連の騒動の結果、開業以来初めて「予約に空きが出て、先行きに不安を感じる」という状況を経験しております。また、クリニックと同じ敷地内で運営させていただいている、デンタルアーツアカデミーでも、海外からの講師陣の来日が不可能となり、何年も前から企画していたイベントが軒並み延期となる事態です。連日の、エビデンスに乏しく情動的な報道に憤りを感じることもありましたが、現在は達観し、半ばあきらめの境地です。
ですが、4月も半ばを過ぎた頃からある動きが活発化してきました。Webinarの依頼です。依頼主は、学会中止に伴い新製品発表の場を失った業者さんだけではなく、「勉強するスタンスを忘れないようにしよう」と皆に呼びかけたい海外のエンドドンティストたちでした。
「動画が静止画のままだった」「音声が割れた」「ラグが出た」など、テクニカルな問題点は山のように出てきましたが、色々な地域の方から、生のフィードバックやリアルタイムの質問を頂けたことがとても新鮮でした。何よりも「前向きなエネルギー」に触れることができてとても気分が晴れ晴れするとともに自然と「コロナ後」の歯科業界に思いを馳せることができました。
連日の自粛モードと先行きへの不安から誰もが大きなストレスにさらされており、それに伴い歯にも多大な負担がかかっているものと推察されます。歯の痛みを「新型コロナが怖いから」「外出自粛だから」といって我慢したり気づかなかったりしている患者さんが沢山いるのではないでしょうか?
新型コロナ騒動がひと段落した暁には、そういった「ストック患者さん」の需要が一気に顕在化すると期待できます。でも、そこで浮かれてはいけません。経済は確実にダメージを受けておりますので、患者さんの選球眼とお財布のヒモはシビアになっています。患者さんからリピートされ続けるにはエビデンスに基づいた確かな診査診断能力、治癒に至るまでの治療計画策定能力が問われてくると思います。
まずはこの難局を「生き残る」こと、そして「指名されるような歯科医師になる」こと。足元は、表面的には厳しい状況だと思えますが、今までセミナーやハンズオンコースで学んだことを復習しなおし、新型コロナ後のご自身の理想像を描くための絶好の機会ではないでしょうか。
ちなみに私は、これまで温めてきた新しい器具・器材とMTAの開発をスタートさせました。設計図と試作品を片手に「あーでもない、こーでもない」と改良を重ねています。
新型コロナ騒動がひと段落した後、皆様にライブでお目にかかって披露できるのが本当に楽しみです!