前回のコラムで自費による根管治療を始める際に注意すべき5項目についてまとめさせていただきました。今回はそのうちのひとつ、「自費に必要な装備」について掘り下げさせていただきます。
私は、自費クリニックが装備すべきアイテムは、顕微鏡・CT・超音波チップ等のマイクロインスツルメントと考えています。「適切な審査診断と治療」につながる必須アイテムだからです。これらは各社さんから色々と製造・販売されていますが、顕微鏡で2百万円以上、CTで1千万円以上、マイクロインスツルメントで20~30万円と、総額で1千万円台前半の初期投資となります。最初からこのような巨額な投資をすることに尻込みしてしまう場合は、「CT撮影を外注する」という形をとって、顕微鏡とマイクロインスツルメントのみでスタートすることをお勧めします。この設備投資が、「1根管の治療費3千円~1万円弱」という保険治療からの脱出パスポートになります。
このような金額の大きい設備投資をする場合、どのくらいの期間で回収できるのか気になると思います。私の場合、1根管あたりの治療費を10万円前後とさせていただいたことと、CT撮影をほぼすべての患者さんに別料金で行っていたことで、顕微鏡・CTの設備投資は、ほぼ一年で回収することができました。
さて、これらのアイテムを入手した後、問題になってくるのはその使い方です。
①顕微鏡
顕微鏡は「見ながら治療できる」という画期的なアイテムです。ですが、この「見ながら治療」という点に顕微鏡治療の難しさがあります。私は、これをマスターするために、スティーブ・ブキャナン先生、ローマリンダ大学、ペンシルバニア大学等、当時評価の高かった、ほぼすべてのハンズオンコースに参加いたしました。1年のうち3~4か月は海外にいた、くらいのイメージです。そこで、各先生・大学の顕微鏡使用の流儀を学び、「自分はどうすると使いやすいのか」を模索しました。顕微鏡の使い方には「こうすればすべて解決」といった唯一絶対の解答があるわけではないのです。
現在は、顕微鏡の使い方を各メーカーさんやスタディーグループの勉強会で学べる場が国内にもたくさんあります。ぜひ先生方にはこれらの勉強会に参加していただき、「ご自分の流儀」を正しく編み出していただきたいと思います。
②CT
CTは顕微鏡の画像とシンクロさせつつ患部を三次元で把握できる、こちらも画期的なアイテムです。成功率・完成度の高い治療にCTは欠かせません。ただ、顕微鏡と違って、CTはソフトウェアを使いこなすだけなので、特段使用法に難しい点はありません。むしろ大事なのは、「どういう目で画像を見るか」です。この「目」がすべての治療の土台となる、「診査・診断」に繋がってくるのです。
次回はこの「診査・診断」のポイントに触れさせていただきます。