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1ドル130円台後半という過去20数年なかったような円安水準に落ち込んだり、原油価格が高止まるなど、歯科材料価格は今後も値上がりが続きそうです。その一方で保険点数は各材料の市場価格を即座に反映しきれてはおりません。今まで以上に自費治療の導入を検討されている先生方が多くなっているのではないかと思われます。
自費診療を導入する際、もっとも大切なのは診査診断であることは言うまでもありませんが、同時に、ご自分の診査診断を患者さんにお伝えするためのコミュニケーション能力も大変重要です。どんなに正しい診査診断をしても、それが治療の受け手である患者さんにクリアにわかりやすく説明し、納得した上で治療にはいっていただかなければ元も子もありません。ここで言う「コミュニケーション能力」とは、単に「プレゼンテーションがうまい」とか「動画ツールを完備している」といった意味ではありません。
確固たるエビデンスに基づいた知識をもとに自分自身が納得する思考プロセスをたどって診査診断を下し、それをご自分の言葉で患者さんにお伝えできるかということですが、このプロセスの中に「○△先生が推奨しているから」という「他人の意見」が入ってしまうと途端に説得力が落ちてしまいます。「他人の意見」はエビデンス力が低いとともに、「○△先生」にご自身と患者さんの命運を、ある意味「思考停止」のまま託してしまうことになるからです。実際、根管洗浄の革新的デバイスとして話題になっていたSonendo社の「Gentle wave」ですが、今年に入ってから複数のキーオピニオンリーダーに同デバイスについてのネガティブなコメントをしないことを条件に金銭がわたっていたことが発覚いたしました。これを受け同社の株価は暴落しピークの2割程度のプライスとなっております。
医療機器メーカーや製薬会社の資金提供を受けた「著名な先生方」がバイヤスのかかった意見を述べてしまう事件は過去から繰り返し起こっており、残念ながら今後も同様の事件が繰り返される可能性は高いと思われます。
だからこそ、先生方お一人お一人に「著名な先生の結論はどのようなエビデンスに基づいて導かれたものなのか」「単なる意見ではないのか」といった「探求心にあふれた疑いの目」を持っていただき、ご自分が納得する形で診査診断を下していただきたいのです。自費治療を受けてでも自分の歯をよくしたいと思っておられる患者さんは探求心旺盛です。先生のご説明にあやふやな点やごまかしが入ると違和感を持ち、矛盾点を突いてくるようになるでしょう。いかにうまいプレゼンをしたり、動画を使っても患者さんの違和感を払拭することはできません。
逆に、ここでしっかりと地に足のついた説明ができれば、患者さんとの信頼関係は強固なものになり、彼らは先生の自費クリニックの強力な応援団になってくれるのです。

寺内 吉継
東京医科歯科大学歯髄生物学研究室博士課程修了
デンタルアーツアカデミー主任講師
神奈川県開業。
最先端の歯科関連技術・知識の吸収を目的としたセミナー「デンタルアーツアカデミー」の主任講師として、日本に留まらず世界各国で講演を行うなど、幅広い活動を行う。

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