2年にわたったコロナ禍にも一巡感が出てきたせいか、海外の学会や勉強会からのライブ講演のお誘いを受けるようになってまいりました。講演後によくいただく質問で回答が難しいと常々思っているのが「治療費をどのように設定していますか?」というものです。いつも私は、「自分のやっていることにプライドを持って、自分自身を高くプライシングしてください。」と申し上げ、実例として自分の治療費をお示しします。西欧や米国では「なるほど。」という反応なのですが、最近よくご招待をうけるようになった、中東・東欧地域では少し勝手が違います。「Dr.テラウチのような値段をつけたら患者さんが他のクリニックへ行ってしまう。」と言われ、(なんとアドバイスをすればよいのだろう?)と悩んでしまうのです。
今回、8月に訪問したエジプトでは、逆に「歯を残すことに患者さんは興味を持たないのですか?」と聞いてみました。すると、「わたしたちの国では歯が抜ける頃には寿命が来てしまうのです。」というまさかの回答が。これを機にわたしが注目したのが各国の人口ピラミッドです。確かにエジプトの先生がおっしゃるように、同国の人口ピラミッドは美しいピラミッド型です。全人口が日本のそれとさほど変わらないのにも関わらず高齢者の割合はたったの4%。日本の約1/8の水準に止まっております。中東エリアでは軒並み同じような状況であることが分かりました。この状況ですと「何がなんでも歯を残したい。」というニーズは生まれづらいのかもしれません。上記に気づいてから、わたしは治療価格について説明をする際、「現地高級ディナーの価格を参考にすること」をよりクローズアップさせるようにいたしました。食べたディナーはどんなに高級でも翌日にお手洗いに消えてしまいますが、治療した歯はずっと患者さんの口腔内に残りますから、少なくともディナーよりは高い価格がつけられるはずですよね!この説明は皆さまに一応の納得感を与えられている印象です。
ところで、日本に目を転じると、皆様ご存知のように、日本の人口ピラミッドはいびつな壺型をしており、高齢者の割合は3割程度。そして日本の金融資産の6割を60代以上の高齢者が保有しているのが現状です。高齢者の最大の関心事はご自身の健康で、実に7割の方がご興味をお持ちでいらっしゃいます。実は日本は世界でも稀にみる「エンド潜在需要国」なのです。しかも、「根管治療専門医市場」が成熟しているアメリカと違い、日本ではまだまだ同分野でご自身の特徴を打ち出せるマーケットです。是非、自費根管治療に取り組み追い風をご自分のものとしてください!!