「患者さんとの関係構築・コミュニケーション」は、自費クリニック成功に欠かせないポイントです。自費クリニックにわざわざ来てくださる患者さんは、まさに「諸刃の剣」。クリニックの最強応援団にもクレーマーにもなりえます。わたしが気を付けているのは以下の3点ですが、実例を挙げてご説明させていただきます。
① 最初に治療計画をたてて患者さんと共有する
自費クリニックの門戸を叩く患者さんが心配されているのが「治療法と治療費」です。私たちは患者さんに対する最初の最低限のお約束事として「これから何をやって、いくらかかるのか」をお示しする必要があります。
実際、治療全体像と治療費のお見積りをお出しした際に「思ったよりもかからなくて安心した」とリラックスした表情になられる方がたくさんいます。是非なるべく早い段階で患者さんの金銭的な緊張を緩和してあげてください。
② 最大限考えられるリスクをしっかり伝える
治療に「絶対」はありません。起こりうる「最悪・最大限のリスク」を先にお伝えしておけば、それ以上悪いことは起こらないはず。実際、「数%の確率で術後痛が出ることがあります」とお伝えした患者さんから、「(先生から)痛くなるかもって聞いていたけど、全然痛まなくてよかった!」とうれしいフィードバックをいただくことがあります。患者さんにも最悪のリスクがインプットされていますので、それが起こらなかった時には先生の評価が上がるのです!
③ 治療に関係することは隠し事をせずにキチンと説明する
治療中は色々なことが起こりえます。②であげた事前説明も重要ですが、もし実際になにかやってしまった場合は、患者さんが気づいていないトラブルでも隠さず説明するのが重要です。例えば「器具破折」ですと、破折した器具がばっちりX線に映りこみますので遅かれ早かれバレてしまいます。私にとって今年最大の失敗は、「どうしても外科的アプローチをとりたくない患者さんの破折器具除去」中に起こりました。詳細は省きますが治療中に腫れと痛みが出てしまい、近くの病院に入院となってしまったのです。しかし、②の事前説明をしっかり行い③の「なぜそうなったか」の解説を加えたことで、トラブルになるどころか「そこまでしてくださりありがとうございます」と感謝の言葉までいただけました。
ここまで色々と述べさせていただきましたが、結局最終的には「人と人」。妙なノウハウ本などに惑わされることなく「自分が患者だったらどう感じるか」という想像力をしっかり働かせるのが大切なのだと思います。そして。①~③を行うには先生ご自身がエビデンスに基づいた知識と選択可能な治療範囲を拡げることが重要です。「クリニック応援団」が全国に広がっていくのを実感できると思いますので是非取り組んでみてください!