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日本のゴールデンウィーク真っ只中にあたる5月3日~6日まで、アメリカではAAE(米国歯内療法学会)が開催されておりました。私も3年ぶりに渡米し、ハンズオンコースを行わせていただきました。直近のアメリカは、大手地銀の倒産や景気指標の後退が見られ、『好景気』とは言えない状況ですが、AAEの現場を見る限りにおいては、『成長産業』『お金が集まっている』『景気が良さそう』といった印象を受けました。
しかし、何よりも驚いたのは、『AI技術の応用が思ったよりも進んでいる』という点です。AIにCT・X線画像を読みとらせ、診査診断を行いますが、データの読み取りはAIの十八番ともいえますから、人間では見落としてしまうような病巣もしっかり捕捉してくれるということで、画像診断の主役がAIになる日も遠くはなさそうです。AAE直前に立ち寄り、講義をさせていただいたボストン大学でもAIとロボット技術を融合させた外科治療が試験的に行われており、その実用化の度合いに驚かされました。
さて一般的には、クリエイティブな仕事、相手とコミュニケーションをとって複雑なニーズを汲み取る仕事、AI自体を設計する仕事はAIに代替されない、と言われております。
皆さま、お気づきになりましたか? 上記1番目と2番目の要件は、自費治療に必要とされる要素そのものなのです。私たち歯科医師は、歯が痛くて来院した患者さんとしっかりコミュニケーションをとって痛みの原因をつきとめなければいけません。患者さんは痛くて不機嫌になっている場合もありますし、過去の歯科治療に対する不信から、疑心暗鬼になっている場合もあります。また、患者さんごとに違う根管や隣在歯の状況、既往症を考慮しながらどうやって感染源を有効かつ効率的に除去するか、その方法を毎回編み出していかなければなりません。自費治療による医療現場はAIが苦手なクリエイティビティや複雑なコミュニケーションにあふれた仕事なのです! 一方、保険診療は、『決まったプロセスに従い、短時間に多くの患者さんに対応する』という点において、『センサーとの連携・ビックデータの活用により早く・正確に仕事をこなす』というAIの特長にマッチしてしまう側面が多いそうです。
デジタル技術・機器は一度汎用化の目途がつくと、量産化によりコストが一気に下がりアナログ時代とは比べ物にならないスピードで普及していきます。『AIによる医療現場のパラダイムシフトはまだ先』とは考えず、コロナが明けた今こそ、『生き残るための変化』にチャレンジする意味でも、自費歯科診療にシフトしてみてください。
最後にちょっと宣伝をさせてください。先日、2024年5月31日から6月2日に開催される、『顕微鏡歯科学会』の会長に選出していただきました。2024年の顕微鏡歯科学会のテーマは、ずばり『歯科医師になってよかったと思える学会。参加して誇らしい学会』です。自費診療シフトをインスパイヤしてくれる世界のトップランナーを複数招待し、ハンズオン・講演を行ってもらいます。是非、会員になって学会会場にいらしてくださいね。

寺内 吉継
東京医科歯科大学歯髄生物学研究室博士課程修了
デンタルアーツアカデミー主任講師
神奈川県開業。
最先端の歯科関連技術・知識の吸収を目的としたセミナー「デンタルアーツアカデミー」の主任講師として、日本に留まらず世界各国で講演を行うなど、幅広い活動を行う。

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