今回は医院の外からサポートを行う経営支援の基礎的な内容を特集としてお伝えします。
第1章 自分(院長)がどんな問題を解決したいのかを明確に!
経営サポートとは特定の分野での深い知識と実践経験、成功体験を持ち、依頼者が抱える課題の解決やビジョンの実現を支援する業務のことです。
経営サポート業の中には歯科医院での経験や知識が豊富な人もいれば、他の業種で得たスキルを歯科医院にも提供する人がいます。だから相談する時にはまずご自分(院長)がどんな問題を解決したいのかを明確にして最適なアドバイザーを選ぶ必要があります。まずここを取り違えてしまいますと院長が望んだ結果を得ることが出来ず「失敗した」となりやすいので注意が必要です。
アドバイザーにも得意分野と苦手分野があります。だから院長が解決したい分野を得意にしている専門家なのかを判断する必要があるのです。たとえば税理士を経営のプロだと勘違いされて相談される院長が多いのですが、彼らは税金のプロであって歯科医院経営を知らない方のほうが多いぐらいです。
第2章 課題解決には自分の気持ちと向き合う作業が重要に
経営サポート業に依頼するメリットは「失敗しながら理想にたどり着く」という過程を省略できることです。例えば「接客接遇」「カウンセリング」「治療コンサルティング」などの〝型〟を落とし込みたいのならば「実績のある方法」を真似た方が上手くいく確率が上がります。ホームページ広告や外部マーケティングなど専門家だけで対策できるものも成果が出やすいです。一方でじっくりと構えて取組む必要があるのがチームビルディングです。スタッフの成長の仕組みを作ったり権限の委譲によって院長の負担を減らしたりする組織化の取組みは短期間では成果が見えにくいのですが、権限委譲による組織化を苦手にされている院長は経営サポートに依頼される価値はあると思います。
ただし、気を付ける点もあり、①その分野を得意にしている人に依頼しないと成果が出ない②経営サポート業が出した課題を院長が実行しなければ成果に繋がらない(実行力が必要)③人件費並みの費用負担が発生する④生命保険などの金融商品や不動産、治療機器などの商品を紹介して収益を得ている業者(営業マン)も紛れ込んでいる⑤依頼する前に院長の要望を明確にしないとアドバイザーとのボタンの掛け違いが起こりやすい、などの注意点があります。なので、相談を行う前に「何を実現したいのか」「どんな問題を解決したいのか」を明確にしてくださいね。
第3章 こんな悩みを医院は持っています
経営参謀としてのサポート
①診療報酬改定への対応方法を提案して欲しい②スタッフマネジメントが上手くいく様にアドバイスして欲しい③経営資料を見て説明し対策を提案して欲しい④スタッフと面談して働き甲斐が持てる様にして欲しい⑤ホームページの改善についてアドバイスして欲しい⑥設備投資する時に意見を聞きたい⑦ライフプラン設計書を作成して欲しい⑧医院収益改善のアドバイスをして欲しい⑨他の医院と比べてどうか?や他の医院が取り組んでいて上手くいっている方法を教えて欲しい⑩国の医療政策で経営環境が厳しくなっても生き残れるようサポートして欲しいなど、院長のご要望を実現する参謀としてサポートすることが多いです。
売上が少しずつ減ってきた
地方都市の歯科医院では少しずつ過疎化と少子高齢化が進み、最高時の売上から売上が低下し始めた医院が出てきています。また、少子高齢化の中で経営対策をどの様に進めれば良いのかが分からない院長も多く、そういうお悩みをお持ちの院長からのご相談も増えてきました。また、都市部での競争激化やコスト増、人材採用等への対策のご相談も多いです。 実際には開業されている地域によって経営環境は違いますので、「経営環境診断(地域の分析)」と「経営診断(経営資料の分析)」を行い、主な対策法をご提案しています。定期サポートをご希望される場合には更に詳しくマーケティング分析をおこない、数値を重視しながら経営対策を進めています。
権限委譲による組織化の推進
主にスタッフ数が15人以上の歯科医院からのご依頼で多いのが組織化のサポートです。組織が小さい時と違って大きくなってくると院長の治療以外の仕事が飛躍的に増えて疲弊するようになります。だからスタッフの役割を決めて権限を委譲し組織化を進める必要があるのですが、権限委譲による経営幹部の育成が上手くいかないと悩まれている方が多いです。一歩間違えるとスタッフが定着しない歯科医院になりますので注意が必要です。私が院長と組織化を進める場合にはスタッフ個々の特性を診断し、その個性を活かしながら幹部スタッフを育成する組織づくりをご提案しています。私への依頼で一番多いのがこの組織化のサポートです。
まとめ
私は提供する歯科医療の質を高めたいと奮闘される院長を直接サポートしたいと、30年勤務した開業医団体を退職して「歯科医院経営コーチ」として活動していますが、医院が小規模なうちは、院長がスタッフとしっかり向き合い、院長の理念とビジョンと行動にスタッフが惹きつけられて、チーム力がアップすることに注力していただきたいです。理由は院長がスタッフと苦労しながらも理想実現の為に頑張った経験がのちのち活きるからです。 また、経営サポート業に依頼しても院長とスタッフに「課題の実行力」が伴っていなければ成果に繋がりにくいと思います。ただ、モデリングによって早期に医院を大きくしたい場合、型を落とし込みたい場合、スタッフの退職が続く場合、中規模以上の医院の場合にはサポートを受けることは有効だと考えます。