Dental Choice ロゴ

このサイトは国内の医療関係者の方々への情報提供を目的として作成されています。
一般の方への情報提供を目的としたものではありませんのでご了承ください。

あなたは医療関係者ですか?

MENU

Dental Choice ロゴ

抗酸化物質(アスコルビン酸)によるイリゲーション・抗酸化サプリメントの応用について

T-method Instituteでは、カリエスのトータルリスクが8を下回ったクライアント(カリエスリスクの低減を実現した患者)に対し、フッ素塗布を行わずに、メンテナンスで傷ついた粘膜や、創傷治癒促進のためにチュアブルタイプのVCサプリメントを活用している(図1)。チュアブルVCを単独で摂取した場合でも口腔内の唾液pHが過度に下がらないことは前回の連載でお話したが、今回は糖分摂取調査結果をお伝えする。

チュアブルVCの使用により糖分の摂りすぎにはならないか

このチュアブルVCは、5粒(4.25g)あたりのカロリーが15.43kcalであり、またその他の栄養成分は下記の通りである。
・タンパク質…0.00g
・ナトリウム…0.09㎎
・脂質…0.10g
・ビタミンC…1,000㎎
・炭水化物…4.04g
・キシリトール…1,600㎎
炭水化物が4.04gあることから、糖尿病の方や血糖値が気になる方が摂取した場合のことを考え、摂取時の血糖値の変動について調査を行った。
●実施メンバー…3名(女性2名・男性1名)(いずれも糖尿病ではない)
●概要…空腹時にチュアブルVC5粒を5分以内に摂取し、15分ごとに血糖値を測定。
※血糖測定は、アークレイ株式会社簡易血糖測定装置グルコカードGブラックを使用し、指先血にて測定した。

■結果…左記のグラフ(図2)は、摂取前の血糖値をゼロとしたときの各測定時間の血糖値との差を示したものである。試験の結果、赤線で見られるとおり、3名の血糖の平均値は、摂取15分後に約5mg/dLの上昇がみられたものの、30分後には初期値と変わらず、またその後は初期値と比べて約5mg/dL低下した。
以上より、チュアブルVCを5粒一度に摂取した場合、糖尿病の方でも血糖の急激な上昇および低下に影響を及ぼす可能性は低いと考えられた。血糖値への影響に関しては、使用している甘味料がキシリトールとソルビトールという糖アルコールであり、糖アルコールは血糖値を上げにくいと言われているためだと思われ、糖尿病の方でも
安心してお召し上がりいただけることが明らかになった。

チュアブルVCの使用によるその他の効果

チュアブルVCは、これまで見てきたように次亜塩素酸水による殺菌処置後の口腔内のpH調整以外に左記のような効果も期待できる。

❶抗炎症効果

口腔内での炎症をVCの抗酸化作用が抑えてくれる

❷唾液流出量促進作用

VCの刺激により唾液分泌が促される

❸歯周処置・メンテナンス後の創傷治癒促進

歯周組織はコラーゲンでできており、コラーゲンはVCがないとつくれない

❹メンテナンス後のフッ素塗布に替わる抗酸化サプリ

VCの唾液流出量の増加促進作用により唾液本来の再石灰化作用を活かす
また、これまでチュアブルVCを使用していただいている医師からは、喫煙者に対して禁煙のきっかけにも用いている、との話も聞く。更に、子どもが手軽にVCを摂取することができる、カプセルや錠剤が苦手な方でも水なしで摂取することができて場所を選ばないので便利だ、というコメントもいただいている。

まとめ

これまで見てきたように、歯科治療において次亜塩素酸ナトリウム溶液による殺菌処置後の口腔内pH調整、活性酸素の除去、創傷の治癒促進にはあまり目が向けられて来なかったが、定期的に口腔内に行われる処置による健康への影響を最大限に考慮していくことにより、抗酸化作用を果たすVC溶解水やチュアブルVCを開発した。
特にチュアブルVCは現在歯科領域だけに留まらず医科領域でも幅広く活用いただいており、チュアブルという剤形の良さをうまく活用していただいていることは、開発を行ったものとしても大変うれしい。ぜひ、次亜塩素酸機能水の活性酸素による善玉(殺菌)と悪玉(脂質過酸化)とされる、二面性:OXYGEN PARADOXを上手く活用し、健康にとって有用な使用法が我々歯科界においても確立することを期待する。

辻村 傑
つじむら歯科医院グループ 総院長
1993 神奈川歯科大学 卒業
1995 つじむら歯科医院 開業
1997 医療法人社団つじむら歯科医院 開設
2008 神奈川歯科大学生体管理医学講座/薬理学分野大学院
2010 南カリフォルニア大学客員研究員/南カリフォルニア大学アンバサダー(任命大使)
2012 ハートフルスマイルデンタルクリニック/茅ヶ崎 開業
2013 インディアナ大学 歯周病学インプラント科/客員講師
2014 インディアナ大学医学部解剖学/顎顔面頭蓋部臨床解剖 認定医

関連タグ

関連記事