院内に歯科衛生アセスメント(口腔内外の診査)を導入しよう!
近年、少子高齢化・医療の高度化・多様化など社会的環境の変化に伴い、予防歯科の担い手となる歯科衛生士の教育にも、さまざまなニーズが求められるようになりました。これらのことを含め、来院患者を包括的にみて、問題点をエビデンスに基づき論理的に解決に導く「歯科衛生過程」という科目が現在の歯科衛生教育に導入されています。しかし教育の場での学びが我々の日常臨床に活かされているか?というと残念ながら重要な分野でありながらも昔ながらの診療フローにて臨床が行われているのが現状です。
「歯科衛生過程」は「対象者が抱えている問題を明確化し、問題の解決方法を計画し、介入していくために必要な一連の思考と行動のプロセス」と定義され、臨床においてより患者中心の医療を行うための手段・ツールとなります。
しかしこれらを院内プロトコルに導入できたとすると今までの予防のあり方、存在意義が格段と向上し、患者理解、満足、歯科予防の重要性を認知してもらうことができるのです、そしてその結果として今まで以上に来院患者の健康を守り育てることに寄与できるのです。
具体的には、歯科衛生アセスメント・歯科衛生診断・歯科衛生計画立案・歯科衛生介入・歯科衛生評価の5つとそれぞれを書面化することから構成されており、対象者の問題点や原因および解決方法を根拠と照らし合わせながら深く考え、行動していくこととなります。
今回から数回に分けて歯科衛生課程5つのうち、最も臨床導入が優先されるべき、「歯科衛生アセスメント」、特にアメリカにおいては日々臨床の現場で取り入れられているM.Wilkins氏の提唱する口腔内外の検査について説明させて頂きます。
口腔内外の診査
歯科衛生計画の立案に先立ち、個々の患者の全身状態を注意深く観察しながらロ腔および隣接する組織を精査することは、全体的なアセスメントを行うために不可欠となります。
患者自身が自覚的な症状を伝えても伝えなくても、さまざまな病変が観察できることがあります。特有な病変の認識,治療、フォローアップは、その患者の現在ならびに将来的な全身と口腔の健康に非常に重要であると言えます。
一見したところ、多くは大したことのない病変のように思えますが、口腔の悪性腫蕩のような数は少ないですが重大な病変が発生する危険が常に存在しています。口腔内の管理者として、がんになりうる可能性のある病変を早期に発見できるようにしなくてはなりません。(●写真1)
次回は「検査の目的」、「検査の内容」についてお話させていただきます。