院内に歯科衛生アセスメント(口腔内外の診査)を導入しよう!
歯科衛生過程5つのうち、最も臨床導入が優先されるべき「歯科衛生アセスメント」。今回は「初見の記録」で必要になる病変の部位と範囲の確認方法からご説明します。
Ⅲ 部位と範囲
病変を最初に確認したときは、周辺組織との位置関係を正確に記載する。口腔の各部位を図示した記録用紙を用意しておくと記載しやすい(●図1)。部位と範囲を明確にするために、次のような用語を用いると良い。
- ▶限局性:病変部が小さく一部分に限られている場合。
- ▶全身性(び漫性):一定の領域や、広い部分に広がっている場合。
- ▶孤立性病変:境界明瞭な固有の病変が1カ所に存在。
- ▶多発性病変:固有の病変が数カ所に散在。
・多房性または分離型:分離し、房のように連続しないもの。
・癒合性:互いに融合するように境界を接しているもの。
Ⅳ 物理的特徴
A 大きさと形
- ▶長さ幅をmm単位で記載する。
- ▶隆起した病変では、高さが重要である。
●写真6のように、プローブで測定する。
B 色
- ▶赤 (紅)色、ピンク色、白色、赤と白が混在した色などが最も一般的にみられる。
- ▶青色、紫色、灰色、黄色、黒色、褐色のこともある。
C 表面の性状
- ▶病変部の表面は、平滑もしくは粗造である。
- ▶乳頭状、いぼ状、溝状、波形状、痂皮状を呈することもある。
D 硬さ
▶病変部は軟らかい、スポンジ状、弾力性、硬い、硬結などと表現する。
形態学的分類
ほとんどの病変は、正常な皮膚や粘膜に比べ、隆起状、陥凹状、あるいは平坦に区分される。
Ⅰ 隆起した病変
隆起した病変は、平坦な皮膚や粘膜上に見られ、水疱型と非水疱型がある。
A 水疱型
水抱型病変は液状成分を含み、多くは軟らかく半透明である。小水疱、膿疱、水疱の形をとる。
- 1 小水疱:直径1cm以下の小さな、薄い皮膜で覆われた境界明瞭な病変である。漿液や粘液を含み、白色に見える。
- 2 膿疱:直径5mm前後で、内部に膿が入っているため黄色味を帯びる。
- 3 水疱:直径1cm以上で、その内容液は漿液または粘液であるが、ときに血液を入れることもある。色は内容液の種類による。
B 非水疱型
非水疱型の病変は硬く液体を含まないもので、丘疹、小結節、膿瘤、プラークとして見られる。丘疹、小結節、膿瘤は基底部の形態で分類される。●図2に示すように有茎性病変は細い茎部で付着しているが、無茎性病変は病変部に一致する広い基底部をもっている。
- 1 丘疹:点状から5mmくらいの小さな充実性の病変で、点状、球状、頂上が平坦なものがある。
- 2 小結節:丘疹より大きく、直径5mm以上1cm以内の病変。
- 3 腫痛:2cm以上の幅径を持つ病変で、一般的に腫脹または増大したものを指す。この場合は良性悪性を問わず、新生物(腫瘍)を意味するものではない。
- 4 プラーク:広く平坦な頂部を有するわずかに隆起した病変で、直径5mm以上あり、糊で貼りつけたように見える。
次回は、陥凹した病変についてお話します。