Dental Choice ロゴ

このサイトは国内の医療関係者の方々への情報提供を目的として作成されています。
一般の方への情報提供を目的としたものではありませんのでご了承ください。

あなたは医療関係者ですか?

MENU

Dental Choice ロゴ

院内に歯科衛生アセスメント(口腔内外の診査)を導入しよう!

歯科衛生過程5つのうち、最も臨床導入が優先されるべき「歯科衛生アセスメント」。今回は、口腔がんの発見や対応方法についてご説明します。

口腔がん

目的:口腔がんをできるかぎり初期の段階で発見することを目指す。発見が遅れると、がんは周囲組織に浸潤し、顎部リンパ節に転移して、予後が不良となる。

口腔がんの初期病変は症状を伴わないので、患者が自分で気づき、歯科医師に報告することはないであろう。歯科医師や歯科衛生士による観察が、口腔がんを早期に発見するための主要な方法である。そのためには、初診やメインテナンスアポイントメント時には、まず患者の顔面全体、顎部、口腔粘膜の検査を行うようにする。片手の拇指と示指を用いて口唇を触診する。(写真1)

口腔観察の方法、口腔がんの好発部位、初期がんの肉眼的所見を知っておくべきで、また疑わしい病変が発見されたとき、どのように対処するかを知っておかなければならない。舌診時には舌先端をガーゼでつまみ、側面、下面をしっかりと見る。(写真2)

口腔がんの初期病変に加え、身体のほかの部位から転移してきた腫瘍の口腔内所見、化学療法を受けた場合の口腔内所見も知っておく必要がある。

Ⅰ 部 位

  • 腫瘍は口腔のどこにでも発生する。
  • 最も一般的な好発部位は、口腔底、舌側縁、下唇、軟口蓋である。
  • 自己検査:患者には自分の口腔内を観察するよう指導するが、自分自身の口腔内を見るのはなかなか難しい。特に自宅で用いる鏡や照明で口腔底、舌の側縁の後方を見ることは困難である。
  • 患者自身による観察は、定期的に行う専門家による観察や検査の補足と考えるべきである。

Ⅱ 初期がんの所見

初期の口腔がんはさまざまな外観を呈し、がん以外の口腔病変と類似していることも多い。どの病変もがんを疑ってみるべきである。 5つの基本的な所見を次に記載する。

A 白色病変
  • 白色病変は、フィルム状で肉眼でようやく確認できる粘膜の変化から、乾いた白色の角化した病変部が厚く積み重ねられたようなものまで、さまざまである。
  • 白色病変部に、裂溝、潰瘍、あるいは硬結のあるものは、悪性が強く疑われる。
  • 白板症は、取り除くことができず、ほかのいずれの病変にも分類できない白色の斑状(白斑)またはプラーク状の病変をいう。物理的、化学的な刺激や、喫煙と関係があるとされている。
B 赤色病変
  • 紅く、ビロード状で、時に小さな潰瘍を伴う。
  • 紅板症は、どんな特定の疾患にも分類できない。明るい赤色の斑状またはプラーク状の口腔粘膜の病変をいう。
C 潰瘍
  • 潰瘍は、辺縁が平坦か、隆起した病変である。
  • 触診により周囲に硬結を触れる。
D 腫瘤
  • 乳頭状の腫瘤は、時に潰瘍を伴い、周辺組織よりやや隆起してみられる。
  • その他正常な粘膜下に発生し、触診のみで発見される腫瘤もある。
E 色素沈着

通常は色素沈着がみられない粘膜の部分に、褐色または黒色の色素が沈着する。

がんの疑いのある病変部のフォローアップ

さらなる診断と生検を受けるよう大学院をはじめとする、ほかの専門医を紹介する。または歯科医師の指示に基づいて、病変はただちに生検(バイオプシー)や、細胞診を行う。

辻村 傑
つじむら歯科医院グループ 総院長
1993 神奈川歯科大学 卒業
1995 つじむら歯科医院 開業
1997 医療法人社団つじむら歯科医院 開設
2008 神奈川歯科大学生体管理医学講座/薬理学分野大学院
2010 南カリフォルニア大学客員研究員/南カリフォルニア大学アンバサダー(任命大使)
2012 ハートフルスマイルデンタルクリニック/茅ヶ崎 開業
2013 インディアナ大学 歯周病学インプラント科/客員講師
2014 インディアナ大学医学部解剖学/顎顔面頭蓋部臨床解剖 認定医

関連タグ

関連記事